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中国人の発想 80の知恵 〜大人の読書感想文〜

前年帰国した折にふと、かれこれ十数年前に他界した祖父の書斎を覗いてみた。

勉強熱心で会社経営をしていた祖父の本棚には今なおたくさんの本が並んでいた。

 

その中に興味深いタイトルの文庫本を見つけたので亡き祖父に断って、拝借をしてきた。

「中国人の発想 80の知恵」日ごろから中国人という人種に興味があったのでこの本になにか面白いことが書いてある気がして、手に取ってみた次第だ。

 

内容は中国古典を基盤にした中国人の生き方、考え方と、日本人のそれを比較して見習うべきところが書いてある。

中国人という人種にどのようなイメージがあるだろうか。

日本にも中国人観光客が増え、マナーが悪いなどあまりいいイメージがないという人も少なからずいると思う。

 

だが反対に島国気質の日本人にはない大陸育ちの大らかさや爽快さがあるのも彼らの特徴だ。

北米に住んでいると、日本人も中国人も「アジア人」とひとくくりにされる傾向が強いように感じる。が、しかし似ているのは食文化と漢字を使用するということくらいで全く別の人種ということを念を押しておこう。

 

でも、 何度も言うが私はカテゴライズするのが嫌いなので、中国人だからこう、日本人だからこう、などとは考えないようにしているが、本書に出てくる中国何千年の伝統からきている人種特有の発想、行動様式があるというのは否定できない。

 

中国何千年の歴史と聞くとえらい軽く言葉にされているが、その長さは現代人の想像を超える。乱世が続いたその国の奮闘ぶりはゆうまでもない。

 

日本人は集団になると強いが、個人になると弱い。中国人は個人になると逆に粘り強いのはそういった歴史的背景があると本書は指摘している。

たしかに商売や投資で成功している中国人が目立つのもそういったことがあるのかもしれない。やるとなったらとにかくやる。そして見切りをつけるのも早い。

 

彼らの典型的な態度としてやってしまったことやどうにもならないことは

執着せず、時には諦めや開き直りも賢さの一つということのようだ。また己の力も知らず猪突猛進むかっていく命知らずには儒家・孔子も軽蔑したという。

行動力も大事だが知恵を使ったたしかな戦略も必要ということか。

わたしの今年の目標(少し前のブログ「新年抱負」参照)。孔子に嫌われないように頑張ろう。

 

 

ところで昔から中国は人口が多かったらしい。特に国土は広いといえども都市部はいつも混み混みで朝着ていた服が夕方に擦り切れている有様だという。それは少々大げさなようにも聞こえるが、そんな中で生活しているといつ他人に裏切られてもおかしくない。そういったことからポーカーフェイスに徹するという精神がついたようだ。

たしかに中国の人で誰かさんみたいにヘラヘラ笑ってる人、あまり見たことない。

 

 

「荘子」という本には、しょうもないことで戦争をしている国同士も広い宇宙から見れば大差ない、ということが書いてある。

また唐代の詩人・白楽天がカタツムリの角争いはしょうもない、とも詠んでいる。二千四百年も前にそういうことを言っていた中国人、思想家はすでに存在していた。でも今も世界の何処かでは戦争・紛争が繰り広げられている。

それはもうどうしょうもないことなのか。戦うってことは、人間の本能なのか。

 

全く、平和や幸福というものは未知だ。

 

こういう考え方を自分に当てはめた時、しょうもないことは本当にしょうもなく思えてくる。

 

まだまだ伝えたい学びがたくさん詰まった本だが、きりがないのでこの辺にする。

 

 

本書は歴史から学び現代でも賢く生きよというメッセージがふんだんにこめられている。

リーダーシップ、人間関係の向上、コミュニケーションスキル向上、自己啓発、営業戦略、に役立てることも可能だと思う。

 

この大きな宇宙の中で与えられた短い旅をどうくらすか、考えさせられる本だった。

 

 

 

 

最後に、貴重な英知が詰まったメッセージを考えるきっかけをくれた祖父に感謝したい。