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地獄変~大人の読書感想文~

今年はカナダ建国150周年ということで、巷では賑わっている。

先日7月1日建国記念日はそんな年にこの国にいれて光栄と思う反面、我が国日本に益々の想いを馳せている自分がいた。

ちょうどその頃、司馬遼太郎の「幕末」を各章のんびり読んでいた。この国がイギリスから独立したころ日本は幕末の志士たちが明治維新に向けて慌ただしく駆け回っていた。

世界が変わろうとしていた。

 

芥川龍之介が世に現れたのはそのわずか25年後だ。単に昔、といえば昔だがそのような視点から両国を見つめると浪漫を感じて仕方が無い。

彼は芸術的な、というか病的なかなりぶっ飛んだ発想の持ち主であったにちがいない。

 

地獄変はとても気味の悪く残酷な話だ。

今思い出すだけでも後味が悪い。

芥川作品は平安鎌倉時代頃の古典文学をベースにしたものが多く、京都が舞台なのでやけにリアルに感じられる。特に現代語訳されていないものを読んだ為か人々が苦しむ場面などの生々しさがより脳裏に鮮明に地獄絵を思い描かされる。

しかもそれが全て主人公の絵師の絵のための犠牲というところが更に驚愕である。

こうゆう類いの作品は本に限らず、気分が沈んだ時やストレスが溜まっている時に見るほうがいいと個人的に思う。

 

あと話の中に出てくる猿が妙に気になる。

後ででてくる町人や僧侶が噂をしたように、いかに芸能に秀でようとも人としての五常を忘れてはならぬという話は最もなことながら、あれはきっと良秀の生粋の微々たる良心の部分で彼は非道極悪人ではなく人は誰しも産まれた時からの悪人は居らず、理由があって悪人、しいては罪人になる、という私の個人的な信条を証明しているかのような場面と捉えられた。

 

それは現代における日常にも当てはまる事実で、誰しもが遭遇することがあるのではないか。

 

 100年前と今では文化が違う。

しかしながら、同じ人間、歴史に学ぶことはたくさんある。